友達をつくるためのお菓子的なソフトの必要性
真木蔵人「BLACK BOOK」(コアマガジン)第二章 子供と暮らし P.049より引用。
(注:ヒルズの人たちに関しての文章の後)そのシャンパン一本で、子供たちにチューチュージュースを二百本ぐらい買ってやれ。ニセセレブはシャンパンを一人で飲み干して、キャビアは一人で食っちまう。でも子供達はチューチューの半分を友達にあげんだよ。そんで「うわぁー!」ってみんな遊び始めんのさ。それがホントのセレブっていうんだよ。持ってないやつが隣にいたら可哀想だし、一緒に分かち合いたいし。だからフィリックスのガムも、パピコも半分に割れるようになってんだ、あげられるように。一人で楽しむんじゃなく、友達を作るためなんだ。十円のあんな小っちゃなものだけど、子供の気持ちを大事にするお菓子さ。ピュアな感覚で「やるよ、ユー」って。一人で食うのはファックなんだ。あのお菓子は、すげえ世の中に大切だよ。
と、真木蔵人が言っているが。
マルカワのオレンジガムだと4つに割れるからさらに3人友達ができるとかとも別ページでいってて、なるほどパピコもフィリックスもマルカワオレンジもそういう趣旨の菓子なんだって初めて気がついた。うわぁすげぇこった。
☆過去と今、2つのパピコ的なソフトの世界
これを電車で読みながら、たまたま思い出したのはIT業界にもあるんだなぁ、こういうの。たとえばポストペットってあったじゃないですか、So-net発売でWeb初期に大風雲を巻き起こしたやつ。これもDX版(市販ソフトバージョン)はパピコなんだよね。CDーROMが2枚入ってて、1枚は友達にあげようっていうことになっていた。僕も好きだった女の子から貰って、そのおかげでチャット並みのメールのやり取りをして理解を深め合えたことがあって、そのときは友達、いや一瞬というかお試しレベルなんですが(涙)恋人になることができた。僕は最終的には悲恋になるんだけど、まあそれは主題じゃないので。
うん、今明白にパピコだと感じる。作者の八谷さんの感覚の中で、そしてSo-netは想定してるか否かはわかんないけど、絶対に「シェアリングは友情の基本的なもの」とは誰かが考えていると思う。
そして今も実はひそかにパピコ的ソフトが…!
それは「ウィルス対策ソフト」の類なのです。
コンビニとかいくと1シリアルで2−3台くらいまで使えるのが出てますよね。あれもパピコなんですよ。
メーカーはPCとノートPCとかを想定してるんでしょうから、あえて「友達に」とは言ってないけど。
会社とかで2人友達ができるかも!
もしかしてこのシステム、思いのほか根付いているのかー!
(提案)シェアウェアの作者とかも1つシリアル買ったら2つ使えるようにすれば、みんなもっとお金払ってくれると思うぞ。
そして、なにげに近いことをしてるのはジャストシステム。シェアとしては一切認めてはないが、メインマシンとノートPCとか同時に起動しなければ、インストールしていいことになっている規約のソフトもある。これはシェアじゃないけど、このくらいの緩さが普及に必要だってことは肌で感じてるんだろうね。家庭内のパピコみたいな。
☆音楽だってパピコだった、かつては
ところで。かつて音楽も実態としてはそんなパピコポジションがあって(買ってダビング>>編集テープを友達へみたいな)とても良い伝染サイクルになっていたにも関わらず(実際、ファンになればライブに足を運んだり、テープの無いタイトルは購入していただろう)、デジタル時代になって、コピー防止信号やDRMでガチガチに固めてしまうという発想になった(ビデオも、電子書籍もそう)。で、クラッシュしたりDRMサーバが止まると価値を失ってしまうので購入に後ろ向きになるという駄目なサイクルに陥っている。
ダビング10じゃないけど、今出てる他の著作権管理バリバリなもの全般も10回くらいはコピーできるようにするべきだよ。シェアがないと広まらない、友達が作れない、というパピコ的発想が昨今の著作権論争には欠けている部分なんじゃないかなぁと思った。1つはセルフコピーとしても、8人は友達が作れる…!
そして、紙の雑誌もくだらない付録でつってる暇があったら、1冊買ったら同じのが2部ついてて人にあげられる位の努力は必要だろうよ。同じの綴じこむなんてコストはかかんないしすぐできるだろ。
新聞だって、拡材撒いてる間に「とってくれる人の友達」にも1部押し紙されている分でも蒔いてやれよ。そしたら営業成績だのシェアだのなんだのギスギスしたものはだいぶ融和して、平和になるんじゃないか。
毎日新聞も友達いないからあんなこと(いろんな誤った処理)になってるんじゃないか。パピコを他の同業者とシェアしたりしたほうがいいんじゃないかな。
☆無限シェアのヤツラは絶対駄目。パピコ泥棒だ。
でもさ、無限にシェアするヤツのことは駄目だと思う。共有とかZIPアップローダーとかなんて結局購入者を狭めてしまっている。原著作権者にもそれを良い顔するヤツはいない。場合によっては作者が首くくるレベルだ。今後の作品発表すらそれが理由で閉ざされてしまうこともある。それは、最終的には共有から入手した人も含めて全てが幸せになれない。パピコは限界があるからいいんで。ホント一部には会社組織で共有とかアップローダーをやってる人もいて、どうかと思うわ。たとえばうまえもんがドラえもんの劣化コピーだとだれもが気がついていても、あえてうまい棒のように味と子供の支持で昇華してしまえばある程度は認められる(というか黙認される)んですよ。ただ単純に複写をばら撒いてる人は人としてダメ。
パピコを何千個も盗んで学校の全員に与えてあげても、むなしいだけ。友達もパピコ目当てのヤツしかこない。そういうことだよね。
p.s.はてなポイントくださった方、ありがとうございました。
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