tx別館

流れ流れて早幾年。いろんな役に立つサイトを紹介します。

富士そば社長の本

らせん階段一代記首都圏では「基本的な味」といわれる、平均点的な味でどこにでもある立ち食いそばチェーンの富士そば社長が本を出しているのだが、富士そばに行ってそのポスターを見て思うのは「版元が書いてない」「書店での取り寄せが可能」というくだり。取り寄せ前提なのが奥ゆかしいともいえるし、現在の出版の限界を感じさせるところもあるのだが、amazonで見たら、講談社本体じゃなくてサービスセンター扱い。たぶんに協力出版or自費出版スタイルなんでしょうね(それは書きたくないのね)。

僕が東京に来た数十年前に思ったのは都内の学生街は富士そば松屋などシステマティックな食べ物やさんが多いなぁ、ということですが、富士そばもほんとうにシステマティックで、そんなにスゴイ味は全然しないながらも、なんか画一だからわかる各店の違いというか。地域性が出るし、従業員や内装や、特定店オリジナルメニューみたいな部分や、ねぎの主導権をどっちが握っているかなどに、ちょっとだけ味が出るんですね。そういう意味あいで愛があるので好きですね。昔、深夜に西荻で声優好きなバイト店員にどんだけアニソンを聞かされたことか(基本のBGMは演歌)。

店に演歌歌手のポスター貼りまくる手法の作詞家のくだりは(単なるスポンサー的な意味合いもありそうなんで)まあ生暖かい目で見るとして、あんだけのチェーンを作り上げるところはたしかに「一代記」レベルの人生は送ってるかと。そーいう意味ではちょっと彼のサクセスストーリーは知りたい。

ちなみにこの本は流通の網を超えて、富士そば全店で購入が可能なのだが、あの店舗のカウンターから本がヌッと顔を出すかと思うとちょっとなんとも体験したいような、怖いような。日本一、購入した人の蕎麦汁がついてそうな本だが。

表紙の店舗の箱絵を見て、ある意味富士そばも「小宇宙」なんだなぁと思う。

Ads by アイモバイル