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流れ流れて早幾年。いろんな役に立つサイトを紹介します。

きのうの続き

編集という場所自体は金になる

普通の人が本を書いて怖いくらい儲かる秘術

普通の人が本を書いて怖いくらい儲かる秘術

編集が金にならないんじゃないんですよね。編集は博打ではありますが、確実に金になる。なぜならメディアを持っているところにはお金が流れ込む話が舞い込む構造になっているからです。人の数がいればそれだけ話はある。メディア力が下がっている、というだけのことで、いまだ別に終焉を迎えているわけではありません。そこから編集者個人にお金が流れてくるかが別問題で。

出版社はその構造として4系統あって、上が編集あがりか、営業あがりか、経理総務あがりか、あるいは単なる異業種の金主かで、ヒエラルキーが大きく変わってしまうということが現実としてあり。
上が営業あがりだと、営業主導になるので、編集の立場は弱くなるわけです。
上が編集あがりだと、こんどは編集のみで会議をしたりして、逆に強くなりすぎる。変な判断になることもあるわけです。
経理総務上がりだと、金銭的な締め付け、精神的な締め付けがきつい。
金主だと、単なる投資だからリターンをきっちり期待され、人を切ることを気にしない。

編集の力が強い会社であれば、妥協することもないので、俺みたいに自己負担が増えてしまうというような悲劇はないでしょう。

のほほんとしてる世界

働く、編集者―これで御代をいただきます。

働く、編集者―これで御代をいただきます。

出版は文化事業という名目で、バブル期には「売れなくてもいい」みたいな思想が一方にあり、一部の会社では赤字が垂れ流されてきました(俺の周りはみんな黒字でしたけどね)。かつては税金対策で出版社を起こすなんてことが普通にあった時代です。文化事業で会社が経営できるのは、不動産・広告・学校などの利益があったからなんでしょうけれど。いまや、ほとんどの企業ではそのようなことはなくなって、比較的採算に関してはみなシビアになっていると思います。
そういう意味では、その頃よりも、今のほうが適正なんですね。

全体的には、だんだんとマスコミからも除外されているのがいまの出版の実情ですが、それだけに他の新聞・テレビに比べれば、のほほんとしていた世界でもあり、比較的怒られることが少ない世界ではあると思います。読者に対して怒ったことってないし、読者としても怒られたことがない。

なんというか、そんな独特なのんびりしたところがあるとはいえ、いわゆる小売の商品を作っているわけで、景気や経済動向にはもろに影響を受けるわけです。編集は特定の分野に必ず詳しい、専門家集団であるとはいえ、そのへんのビジネス的な部分に関するシビアな感覚が、少し足りないのではないのかな、といつも思っています。

編集は楽しい、だけれど、楽しさの引き換えに、いろんなものを失っていきました。工場とおんなじで、稼動時間だけ考えて利益を最大化していたら、いろんな面で無茶なこととなっていました。でも楽しかったけどね。
利益が小さくなった代わり、最近では労働災害、労働基準、病気、セクハラなど、企業の無茶な道理をきっちりと当局に訴える人が増えて、労働環境はだいぶ改善されてきているでしょう。ただ、変な人が除外されるようになって、面白みは、あんまりなくなってきたかも。

書店に最近、いつ行きましたか?

消える本屋―出版流通に何が起きているか

消える本屋―出版流通に何が起きているか

出版に関しては、流通のほうの数値が改まれば、なんとかまだ生きながらえるのは事実です(そのあてがないからこんなことになっているのですが)。
昨日のエントリはバブル期から書き始めた話だから悲壮になってますけど、まあここまで酷いことになってる人ばかりでもないでしょう。
ただ、紙の本が過去の遺物になりかねない、ということは認識しておいたほうがいいでしょう。
最近、大半の編集者は書店に行く頻度が落ちてるはずです。Web好きならAmazonへの依存頻度も高いでしょう。リアル書店で探して現物を見てからAmazonで買う、という人が僕のまわりにも結構います。書店に行かないと売れる本ができない!というのが、上の人の持論ですけど、書店に行かないくらいモチベーションの低い人のほうが一般的になりつつあるのも確かで、そういう感覚はそれはそれでわからないでもないのです。

電子ブックリーダーは黒船がこないとダメだろうけど

書店ルネッサンス―進化・視察・出版営業・未来・電子ペーパー

書店ルネッサンス―進化・視察・出版営業・未来・電子ペーパー

Amazon電子書籍リーダー、Kindleも日本語化されたら凄いことになりますし、たとえば任天堂の商品みたいなプラットフォームが出版に最適化されて多少のコスト赤字を内包して出てきて、ソフトウェアも本より異常に廉価だったら、もうきっと、お年寄り以外は誰も本を買わなくなるはずですから(今もDSVisionが出てますけど、DSは本のためのプラットフォームではないので)。携帯だっていまでこそ出版物は特殊なマンガをコマ単位で見せるのがメインですけど、もともとは、次世代ブックリーダーとしてもっと平均的な書籍の販売を期待されてきたはずです。

まあそんなことは誰もしてくれないんでしょうけれど、ブラザーの電子ペーパーMyMioくらいの単価で出てくれればいいのになぁ。
漫画に最適化されて他の書籍も読める端末が、1万数千円代で出せれば、まだ勝機はあると思うんですけどね。
iphoneをしょぼくしたようなもの(でAppstoreのようなエロNGなどの制限がない日本市場にあわせたもの)でもいいんだけどなぁ。隣の国のサムスン辺りが頑張ってくれないと無理かなぁ。

出版幻想論

出版幻想論

出版現実論

出版現実論

▲まっとうな営業マンだった人の本。採算を説く。後に続いてちゃんとやってる人の話を聞かないのが残念だが今からでもいいから古本ででも読んどいたほうがいいと思うよ。そしてその後の「現実」を見てみましょう。

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