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東京12チャンネル本がまた出たから、それに変わる未来を妄想してみた

テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡 (新潮新書)

テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡 (新潮新書)

現在テレビ東京となっている旧東京12チャンネルの本がまた出たようです。しかも新潮社から格安で。また、なんていっても大半の人はわからないと思いますが。前に出てた本はこんなのがある。といっても10年くらい離れているのだが。
東京12チャンネルの挑戦

東京12チャンネルの挑戦

こっちの本は僕は買いましたけどね。昔の熱い「少ない予算で大きな企画」「予算は他局の1/3」だった東京12チャンネルアウトローすれすれのやり方、テレビ本来の作り方としては参考になるんですが、まずいまのテレビ関係者が買うかどうかというのもあるし、当時は関東ローカルだし、このへんの本を欲してる層というのは万単位でいるのかどうかが読めないですな。僕は大好きで子供の頃はほとんど12チャンネル派だったんですが。昔(90年代)のおはようスタジオでも何回かスタジオに足を運んだことがあります。世代的には、東京12チャンネルテレビ東京初期のくだらない(ほめ言葉)番組を結構プロデュースしていた、敏腕プロデューサーだった棟武郎氏にも本を書いてほしいんだけどなぁ。たしか彼は北海道出身だったんじゃないかと思うけど(違ったらすいません)いい意味でおおらかな放送を構築していて学ぶこと多かったんだよね。

12chが語られるのは「その時代のアウトロー的企業の伝説性」にある

10年を経て同傾向の本が出るというのは、当時の貴重な証言を持つ人たちも還暦を越えて、いま書いておかないと視聴者側のうろ覚えなデータしか残らないということもあるのでしょうけれど、いまの人たちは「どんな重要事件が起こってもテレ東は通常放送(特にアニメ)」というキャプチャ画像や、いつでも温泉グルメ番組やってるくらいしかテレビ東京の特別性というのを認識してないですけど、80年代の頃はそりゃーもう超常識はずれのハチャメチャな局だったのだ。番外地というのは視聴率をさしてもいるけど、アウトロー性というのも指している。なぜそんなになったのかは、もともと日本科学技術振興財団の経営する教育目的のテレビ局だったが経営が破綻寸前までいっていた、ということがある。なりふりかわまず一般局になんないとダメだったということだ。こないだまで教育局だった会社がお色気ドラマやお色気深夜番組をやったりする。アイドルのスケジュールが抑えられないからばらばらに撮っていかにも一緒にいるかのようにまとめる。声優が使えないから落語家に声を当てさせる。スタジオはスタジオライトが当たり前なのに、あえて蛍光灯。予算が無いから視聴者参加。いまよりおおらかな時代とはいえ、12chのアイデア勝負はすごかった。

僕はテレビ局では東京12チャンネル、ラジオでは文化放送、出版ではアスキー(微妙にごにょごにょあって現アスキーメディアワークス)、白夜書房〜少年出版社(現コアマガジン)、JICC出版局(現宝島社)の80年〜90年代の異常な元気さ、アイデア勝負、エネルギー、視点の狂い方、アダルト面白主義が大好きだったのだが、どこも同じような危機を乗り切り、爆発を経ていた。いまから振り返るとバブル期だったからなんとかなったともいえるのだが、本当に一時期は狂っているとしかいいようのないくらいの成長ぶりだった。いまやどの会社も見た目フツーの一般会社になってしまったのはやはり、当時と比べ全般に学歴(というか社会経験の薄い人たちの比率)が上がってしまったこと、企画が普通になってしまったことに他ならないだろう。才気あふれる人というのは、一度社会に出ている社会経験者や、社会に溶け込めない人だったりするので、僕は放送、出版ともかなりそんな隙間産業的な会社が減って残念に思っているのだが。パーフェクTV!の初期もなんだか有象無象のそんな人たちがたくさんいて面白かったなぁ。

PC向けインターネットはもっとお金が動く力がある

インターネットの放送メディアが、初期みたいにGyaOとか第二日本テレビ(方法論が間違っていたが)ががんばってた時期から、いまはどちらかというと単なる動画サービス(Youtubeニコニコ動画)のほうがメジャーになっている現状になっていますが。
ユーザーが作り手(という建前のもとにTVの転載コンテンツも集結している)とか、かつてはプロも持ちえていた、無駄なエネルギーというか、作り手のはやる気持ちみたいなのが素人のほうにどんどん移行しているのが現状じゃないかと思うんですよね。

テレビがつまんなくなっているのは万人が認めているところでしょうが。それに対してネットのほうがいまよりももっと面白くなっていけば、力を持つことができるんだと思うんです。いまのPC上でのWeb、今年のトレンドはあんまりたいしたことがありませんでした。

モバイルモバイルいってる糞会社やゴロの人がよくがいますが、モバイルは課金単価が低く、公式でかつボリュームゾーンのあるところに先に参入している特定の会社は儲かるけど、ボリュームのないところではまったく儲からないし、モバイルよりもPC上のネットのほうが課金単価も自在で、本来的には面白くなっていける力があると思う。ただ、アングラ時代の名残り(不正者)×プロテクト破り×P2P無断配布でビジネスになんねーと、思っているだけで。

実際は、EC(物販)と金融という世界は、Web上でビジネスとして普通に成立しているので、ウェブで簡単に利益を出していくには免許のいる金融は別にして、ECをやっていけばいいんだと思うんです。そこにクリエイティブ要素が絡んでいけばもっと面白くなるのになぁ。

プロとアマの共存サービスとかがあってもいいよね

たとえばニコニコがECになるとか、そしてそれに動画コンテンツを絡めるとか、しかも課金については売れ高で売れて初めて最低限のお金を乗せるとか、そんな方法論もあるかと思う。そういう体裁があると、アマチュアも参加しやすいし、プロ向けサービスを同時スタートすれば、現状でたとえばプロが宣伝NGのニコニコで遠まわしな商品名も出ないビデオを作るよりも、プロも同じ土俵に参加、しかもアマチュアよりも下手に出て売らなければならなくなるから、絶対に動画をがんばるだろうし、カオス感が増すんじゃないかと。いまもプロクリエイターは参加しているけど、商品化する側(ドワンゴ含め)はクリエイターだけを囲うことばかりを考えている。実際は、クリエイターがクリエイターとしてやっていける自由な作家さんもいるだろうけど、商業スタイルが絡んでいくと、クリエイターの周りにはブレーンが必要だし、無論ゴロもいるのだが、売るための優秀なスタッフもいたりするわけだが、なんでもドワンゴが仲介したらばつまんないんだよね。出所した田代某氏に某さんのフィルタが入って、予定調和媒体だけの出演フィルタが入るのと同じで。クリエイターというものは同じプロデューサーの下では面白いものを作り続けられないのは、出版社を変える多くのマンガ家を見てもわかることだろう。またこのシステムでは、クリエイター以外の技術者とかADとかがニコニコに入ってきてもいいと思うのだ。「動画のプロ」がアマと同じ土俵に立って物を売るっていいんじゃないのかなと思う。だっていまの深夜帯のテレビショップみたいなのをそのままやっても売れないし。そういう意味合いでは、大阪MBSでやってる馬鹿CG番組、ネットミラクルショッピングが興味深い。ああいう売り方アリ。あれのDVDなんか現状のニコニコ無断転載の市場だけでも売れそうだし。

マスの人がネットに異常に対抗心のあるようなのをやってるのは会社的なポーズであって、実際はオンエア外の時間に、ネットからかなりネタ拾ってますからね、最近は。だって脚本から企画書からもうほとんどPCだから、打ってる裏側にブラウザ開きますから。下手なタレントより特定の世代には「やる夫」のほうが知名度あるねぇって時代です。テレビプロダクションで1週間寝ないで番組作ってるような下層社会の人々がたとえばそのECとかでアイデアだけで一発逆転できるようなサイトパワーを持ってればもっと机上の空論でとりあえず適当なマッシュアップサイト作ってgoogle広告入金で食べてるような自称エンジニアよりも、ものすごいことになると思う。

ドワンゴもちょっとメジャーアウトロー感がある面は好き

ニコニコはあんまり面白いと思ってないんだけど、ドワンゴの就職スタイルは面白いと思っていて、変人の人とかもいたりするし、初期はアスキーの元ログイン班の人ばっかりいたし(いまはあんまり居ないと思うが)、かつてはイロメロの広告2chに打っててああいうののスポンサーとしても先駆者だったし、いまも若い人がたくさんいるしかつ変な視点で採用していたりするしで当時の前述各社みたいな雰囲気はあると思うんだよね。だから、下克上的に下の人がものすごくよい企画を出したら重用されるようなシステムが出来てたら、かつての彼らみたいに爆発できるような気がする。

適当なことを言っててますが、もしかしたら東京12チャンネルの逆転劇からも、ウェブが力を持つためのなにか無駄なエネルギーの作り方を学べるのかもしれないなぁと妄想して長文を書いてみましたが、たいした意味はありません。しかも深夜に書くラブレターみたいに朝になったら捨てたくなるかもしれません。文章も支離滅裂なので、とりあえず許してください。ではまた。

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