tx別館

流れ流れて早幾年。いろんな役に立つサイトを紹介します。

売れる本(orメディア)の作り方その1

素敵なダイナマイトスキャンダル (ちくま文庫)

素敵なダイナマイトスキャンダル (ちくま文庫)

Webに「3号雑誌」的な概念はない

カストリ本とか言われてたのは遠い昔だったか。カス取り(粕取り)酒=B級酒が、三合も飲めばへべれけになることから3号雑誌をカストリ誌と読んでいた時代があった。酒に雑誌を重ねて表現するってちょっとセンスがあるよね。
おいらも3号雑誌どころか2号1号誌は幾つか作ってるけど、まあ偶然当てるという楽しみが雑誌媒体にはあったよね。どんな適当な条件であっても上手く流れに乗れば売れたわけで、ヤマ師が活躍しやすい素地があった。Webサイトはすぐに結果が出ちゃうから、広告として作るサイトか、いわゆるSEO系の業者くらいしか騙しができないわけで、何回かやれば不採算のサイトなんかすぐ作らせてくれなくなっちゃうから、あんまり適当なWebサイトというのは、採算を前提に考えると作りづらいよね。まあ雑誌業界がいい加減でWebがまともだっただけだけど、世間の流れからしても、自分の体力からしても、もうこれから雑誌は作らないので、本を作っていた頃のノウハウを適当に話すよ。Webにも応用できる話だよ。

全部悪いところを書き出してそれを改善したものを作ればいい

編集者の学校

編集者の学校

まず有名編集者の本は結構読んだ。だけど、大体酒飲み話みたいなもんなんんだよね。役に立たないとは言われながらも、本の他にも、いわゆるそれ系の学校の人たちの話も結構聞いた。その中でわりと納得がいった編集方法のトレーニングが末井式というやつで、末井昭の「素敵なダイナマイトスキャンダル」などの著書に書いてあったと思うんだけど、ライバルというか、既存の雑誌で想定する類似誌があるとして、それを1冊ターゲットにして、それの全ページにおいて不満点とか、これをこう改善すればいいのに、と思うところを全て書きだしていくというもので、書きだしているうちに不満を解消した理想の雑誌のビジョンが浮かんでくる。結果的には意図せずも、その既存誌よりも面白い、かつ欲しい雑誌(の企画)になるし、「俺は買う」本になるし、消費者ニーズに沿うわけだけど、この方法論は売れてない媒体とかを改善するのにものすごくいいので、たとえばサイトを作る人も、類似サイトの悪い点、どう改善したらよいのかをを出来る限り沢山書きだしてみるといいよ。いわゆる普通の企画書を通るようにブラッシュアップしていくのにも近いんだけど、具体的な記事案が沢山出てくるのがいい。

これ、先行するメディアに対するものに限らず、現状自分の持っている媒体に対して不満を書き出していくという方法にも使えるのがミソ。

・プレゼント欄がしょぼい→ユーザーが一番欲しいものを据えて、少年誌のプレゼント欄のように派手にモデルを使う。
・写真が汚い→機材を買う、キレイに撮って、構図も考えるとか
・ロゴがしょぼい→デザイナーにもう少し手間のかかったロゴを発注するとか。

とかね 地味な改善も全体に至ると、結構大きいリニューアルになる。

予算との兼ね合いに注意しないといけないけど、それを先に考えてからだとどうしても尻すぼみになるので、それは考えないで書いていくべし(あとで優先順位をつけて取捨していく)。リニューアルならそんなこと(自らの欠点抽出)は当然やるでしょ、という声もあるだろうが、新規でメディアを立てるときには結構、類似メディアの欠点をつぶしていく作業はしないものだ。新規の場合はぜひやってもらいたいと思う。

作る媒体に自信が持てる

標準 編集必携

標準 編集必携

俺は、たとえば創刊する雑誌の骨格とかがはっきりしない段階でもこれをやっていくことにより、どういったメディアを作ればいいか、支持されるかということには自信が持てた。ただ、先行1番誌の改善媒体、ということになるから、トップを抜くのは難しいんだけどね。トップを抜くには、1番誌ができ得ない、真似できないことをやるしかない。

たとえばSweetが60万部売れてるからといっても、あの本にも足りないところ、こうあってほしいところはあるだろうし、Webの新規媒体を立ち上げるにしても、例えば先行して採算の取れてそうな媒体があったとして、同じ方法論でもそれよりも改善されたWebを作っていくことである程度のところまで追いかけていくことは可能なわけで。ダマされたと思って参考にしてみると成功するかもしれないよ。

勿論、その改善点を実現するだけの実力とかコネクションとか技術力は別途もってないとまずいんだけどね。

末井昭は大人になって見るようになってからは、ただの寂しがりなおっさんだと思うけど、編集理論と人脈はさすがに40万?雑誌を2冊(写真時代とパチンコ必勝ガイド)作っただけのことはあるなぁ、とは思う。

※「素敵な〜」じゃなくてその後に角川で出た2冊の本のうちのいずれかだったかもしれない。どちらにしても今手元に「素敵な〜」がないんでわからないが。

Ads by アイモバイル