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雑誌における取次のゆるやかな死(書籍はまだまだ大丈夫だが)

みんなわかってても言わないことがあって、いわゆる書籍は(高いにしても)まだ雑誌よりは返品のない月曜日―ボクの取次日記 (新風舎文庫)返品良好だが雑誌は高返品、というのがここ5年以上ずーっとずーっと取次の集計情報となっていたわけだが、商品をコントロールできる取次自身が改善策を怠っていた(もしくは改善していたのかもしれないが、効果が出なかった)のだろうと思われるほど現在も状況は(雑誌においては)改善されていない。これはたとえば昨今の雑誌媒体が広告で成立している構造になっているので部数が減らせないとか株主関係とか接待つきあいの政治的なの兼ね合いがあるんだろうが、「高返品体質」は「ほんと僅かに数値が改善された」程度。依然雑誌は厳しい。ネットのせいにしているが全部のジャンルがそうとは言えず、実際は何のせいなのか。


彼らは小規模書店を(特に何のリリースがあった訳でもないが)思った送品がこない等の微妙な差別の上で実質上の自然死に導いているのにかわりに招いた大型郊外店もスタート時は好調もいまや厳しいという昨今の状況。実質的に取次のコンサルティング性の死というか無力感を感じる。


音楽の世界で著作者ががちがちに中間業者に固められてしまっているのからの脱出手段としてのネット、それと同じでいまのまま「改善」がされていかない古い体質の雑誌流通。いまはPOS管理が優秀なコンビニの中間に取次が入ることで、書店は高返本なままでもなんとか雑誌流通は成立しているが、商品によっては直販・ネットとか、特定流通で売ったほうが得になる時代がもうすぐ来ている。


ネトラン 2008年 02月号 [雑誌]
実際、一部の初老向け媒体や「いぬのきもち」の類はすでに直販オンリーだ。「ねとらん」だって本と並行して電子媒体化を進めている。幻冬社コミックスほか数社デジタルのみの漫画雑誌がある。


その点、大手は立ち位置を間違えたデジタル雑誌ばかり出しているが、ファッションとか高級媒体はWEBではその利点が伝わりづらい。たしかに重いのは解消されるが、ファッションみたいな「所持することが格好いい、また多くのファッションをひと目で閲覧したい」媒体はリアルで最後まで売れる本なのに。


モデルケースといえるかどうか。韓国の最大手書店、教保文庫に行ったら1年前より雑誌売り場が半減していた。雑誌売り場の半分は洋雑誌になり、辞書が拡充され「雑誌・辞書」コーナー扱いになってしまった。
ファッション(付録がすごい。グレープオイルの大瓶2本+DVDなんてのもある)、かっこいい情報雑誌、厚いマニアニッチ本は生き残ってたが、各ジャンル2誌程度の扱いとなってしまい、隆盛を極めてたゲーム雑誌やPC誌もかなり減った。もともと韓国は書店よりスタンド流通だったこともあり、書店は多くないが、それでも雑誌出版はずいぶんあったのだが。実質は「雑誌終わった」感がある。しかし書籍はあいかわらず隆盛で店舗面積の7割は占めているまま。


ああ、これが間違いなく数年後は日本の雑誌出版にも来るだろうな。雑誌は減って書籍が残る。
(と思ったら講談社文庫がKIOSKに自販機を置き始めた。講談社さえ他社依存をしなくなったらもうだめだね)

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